離れた場所にある災害対策室と通信指令室に
双方向で書き込み可能な電子黒板を導入
2019年4月、福井県大野市消防本部では消防緊急通信指令システムを更新。現場からの映像を受信する画像伝送システムを導入したほか、従来は札をかける形式だった当務配置盤を電子化するなど、防災・消防基盤の整備を行った。その一環で、離れた場所にある災害対策室と通信指令室に電子黒板を導入。遠隔会議ソリューション「ELMO コラボレーション」を活用し、2カ所の電子黒板に同じ情報をリアルタイムで共有できる体制を構築した。
従来の情報共有における課題
紙ベースの情報をホワイトボードに転記
通信指令室に集まった情報を、紙ベースの連絡表で災害対策室に持ち込んで、ホワイトボードに転記する運用のため、緊急時の情報共有に時間がかかる。
情報の伝達が一方向になりがち
情報の伝達が通信指令室から災害対策室への一方向になりがちで、災害対策室から特に伝達したいことがある場合は、人手で伝達する必要があった。
他職員への情報伝達が伝言ゲームに
緊急時には幹部や非番職員が通信指令室に集まるが、後から来た職員に対し、これまで収集した情報を改めて報告するなどの手間がかかっていた。
電子黒板+「ELMO コラボレーション」でこう解決!
通信指令室の電子黒板に記入するとリアルタイムで災害対策室にも反映
離れた部屋にある2つの電子黒板に、まったく同じ内容がリアルタイムで表示されるので、紙ベースの連絡表を持ち込んだり、ホワイトボードへの転記が不要に。
通信指令室の電子黒板に表示した連絡表のフォーマットに書き込むと、離れた場所にある災害対策室の電子黒板にもそのまま表示されるため、タイムラグのない情報共有が可能になる。
双方向からの書き込みで災害対策室からの意思伝達も可能に
「ELMO コラボレーション」で接続した複数の電子黒板は、双方向での書き込みが可能なため、通信指令室からの情報伝達に対し、災害対策室からも文字による意思伝達が可能になる。
基本的には、通信指令室から災害対策室へ情報を伝達する運用をとっているが、緊急時にどうしても災害対策室から意思伝達したい事項がある場合は、電子黒板に記載することで、リアルタイムで双方向コミュニケーションがとれる。
後から招集された職員も電子黒板を見れば情報を把握可能に
災害などの緊急時に、後から通信指令室や災害対策室に集まった職員は、これまで電子黒板に記載された情報を参照することで、特別な報告や伝達をしなくても把握できる。
アナログのホワイトボードや紙の連絡表では物理的なスペースの制約があり、後から部屋に来た職員は古い情報を参照しにくいが、電子黒板に表示された連絡表はデジタルデータのため、複数枚に渡っても切り替えて表示が可能。
電子黒板+「ELMO コラボレーション」選定のポイントは?
離れた場所にある電子黒板にリアルタイムで同じ情報が表示できるか?
通信指令室で電子黒板に書き込むと、同じ内容がリアルタイムで災害対策室の電子黒板にも表示され、タイムラグなく情報共有できること。
- 電子黒板はホワイトボードのように手書きで情報を書き込むことが可能
- 「ELMO コラボレーション」により、複数の電子黒板に同じ内容をリアルタイムで表示
双方向での書き込みができるか?
片方の拠点から一方通行で情報を発信するのではなく、双方向で書き込みをして情報共有できること。
- 「ELMO コラボレーション」は双方向からリアルタイムでの書き込みが可能
お客様の声
大野市消防本部・署 警防課 通信指令室(左から)
主査 消防士長 清水 一将 氏、企画主査 消防司令補 清水 秋徳 氏、室長 消防司令 幅岸 基修 氏、課長補佐 消防司令補 阿部 貴生 氏
離れた2つの部屋でリアルタイムに情報共有
消防緊急通信指令システムの更新計画は、2016年より情報収集を始め、検討を重ねてきました。この検討段階で「災害対策室と通信指令室で同時に情報が共有でき、双方から書き込みができる」という電子黒板に注目しました。
もともとホワイトボードを活用していましたが、2つの離れた部屋ではリアルタイムでの情報共有ができず、通信指令室に集まった情報を、紙ベースの連絡表で災害対策室に持ち込んで、ホワイトボードに転記する運用でした。
新システム導入後は、基本的に情報が集まってくる通信指令室側で、電子黒板に連絡表を表示して手書きでホワイトボードのように書き込みますが、災害対策室からどうしても伝えたいことも書き込むことができる「双方向性」は、緊急時には有効だと思います。(室長 消防司令 幅岸 基修 氏)
位置情報、映像、文字情報の併用による正確性
新しい消防緊急通信指令システムでは、監視カメラの映像を遠隔で見ることができますが、位置情報や映像を参考にしつつ、電子黒板に記載した文字情報を併用することで、情報を正確に把握することができます。
現在、実運用を通じて様々な改善を行っています。例えば連絡表のフォーマットを「火災用」「救助用」「山岳用」と増やし、その都度適したものを活用できるようにしていきたいと思っています。(課長補佐 消防司令補 阿部 貴生 氏)
緊急時の口頭での報告が不要に
通信指令室には通常は2名が常駐していますが、災害などの緊急時には幹部や非番の職員も集まり、情報の整理や対応にあたることになります。電子黒板に情報をまとめることで、後から来た職員は電子黒板を見れば、それまでの情報が把握できます。(企画主査 消防司令補 清水 秋徳 氏)
正確な情報をいち早く把握できるシステム
消防緊急通信指令システムの更新により、今まで以上に正確な情報をいち早く把握できるようになりました。例えば、交通事故の現場からの情報は、従来は無線での報告のみでしたが、画像伝送システムにより映像で状況が確認でき、さらに電子黒板を活用して文字情報を共有することで、スムーズな情報のやりとりが可能になりました。(主査 消防士長 清水 一将 氏)
福井県大野市消防本部様における消防緊急通信指令システム
2019年4月、災害に強いまちづくりの推進や、防災・消防基盤の整備を目的に、大野市消防本部では消防緊急通信指令システムを更新した。現場からの映像を受信する映像伝送システムや従来は札であった当務配置盤の電子化のほか、電子黒板と遠隔会議ソリューション「ELMO コラボレーション」の組み合わせにより、災害対策室と通信指令室間の情報共有の体制が整った。
離れた場所にある災害対策室と通信指令室で同じ情報を表示できる電子黒板
従来は紙ベースの連絡表を、部屋を移動して人手で持ち込みホワイトボードに転記する運用であった。電子黒板の導入により、片方の部屋で電子黒板に表示した連絡表のフォーマットへ記入すると、もう一方の電子黒板にもそのまま表示されるため、タイムラグのない情報共有が可能になる。
映像の遠隔共有など、情報収集のしくみを強化
新指令システムでは、従来は無線でやりとりをせざるを得なかった災害や事故の現場の映像を遠隔で表示できるなど、情報収集のためのしくみを強化。
視覚的に把握した情報をもとに、電子黒板の連絡表へ記載し、離れた場所との情報共有の精度も向上する。
アナログ運用のデジタル化による効率化
職員の日々の出勤状況や配置は、従来、当務配置盤に札をかける運用であった。1階と2階に同じ内容の当務配置盤を設置していたが、今回の指令システム更新によりデジタル化。
当日の状況だけでなく、すでに勤務が終了した過去の配置や今後の配置予定も、簡単に画面切り替えで参照できる。
関連リンク
福井県東部の内陸に位置し、「天空の城」として知られる越前大野城の城下町として発展。人口は約3万3000人。2019年4月、災害に強いまちづくりの推進や、防災・消防基盤の整備を目的に、大野市消防本部の消防緊急通信指令システムを更新。
- 組織名
- 福井県大野市消防本部 様
- 住所
- 福井県大野市天神町7-14
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